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第67回 イメージが湧かない?中小企業はどんな貸借対照表を目指すべきかを考えてみます

いい貸借対照表を作りましょう

いつも私たちは「つぶれない会社を作りましょう」と中小企業の経営者様にお伝えしています。

しかし、つぶれない会社っていったいどんな会社でしょうか?

ちょっと考えてみてください。

 

例えば、

・売上が大きくて利益が出ている

・よく売れる商品を持っている

・いいお客様とお付き合いしている

・たくさんのお客様・ファンがいる

・特殊な技術を独占的に持っている

などをイメージされるのではないでしょうか。

 

そういうのも確かにつぶれない会社の条件ではあるでしょう。

しかし、今回お伝えしたいのは財務です。

長い間経営をしているといい時もあれば悪い時もあります。

そんな悪い時に少々の赤字が出てもびくともしない強固な財務を持つという意味で

「つぶれない会社」というものをお話ししたいと思います。

 

では、いったい強固な財務であるかどうかはどうしたらわかるのか?

それは、決算書に含まれている貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)、

その書類を見れば、強固な財務かどうかが判断できると考えています。

 

もちろん、判断ができるだけではダメですよね。

どういった貸借対照表が理想なのか、自社の貸借対照表とどう違うのか。

そして、どのようにすればその理想の貸借対照表になれるのかが分からないと意味がありません。

 

 

どんな貸借対照表を目指すべきか?

中小企業の経営者様は貸借対照表を確認されることが少ないかと思います。

そもそも貸借対照表とはどんな資料か?ということですが、簡単に言うと

決算日における持ち物リストであり、その持ち物を揃えるためにどうやってお金を集めたかを示している資料、です。

 

 

 

 

貸借対照表は左右に数字を並べて記載されています。

左側は持ち物リストであり、会社の財産が現金預金から順番に並べられています。

資産といいます。

 

右側はそれらの持ち物を持つためにどうやってお金を集めたかが記載されています。

どうやってお金を集めたか、は難しく言うと資金調達といいます。

集めたお金には2種類あり、①返さないといけないお金、と②返さなくてもいいお金、に分けられます。

①は負債、②は純資産といいます。

 

①返さないといけないお金は、金融機関からの借入金のほか、仕入代金や外注費、給与やその他の経費で支払いを待ってもらっているものなどがあります。

②返さなくてもいいお金とは、創業時に出資した資本金と、創業から現在までで稼いだ利益のことです。

 

 

A社とB社の貸借対照表を見比べてみる

貸借対照表を実際に見ていただくのもいいのですが、イメージ図を見てみましょう。

 

A社とB社の貸借対照表を並べて記載してみました。

左がA社で、右がB社の貸借対照表です。

各項目の面積の大きさは金額の大きさを示しています。

 

繰り返しになりますが、左側は持ち物リスト。

会社の現金預金やその他の持ち物が記載されています。

(今回はその他の資産の内訳は記載していません。)

 

右側は、それらの持ち物を持つためにどうやってお金を集めたかが記載されています。

・買掛金・預り金・未払金といった支払いを待ってもらっているお金

・金融機関と契約をして融資してもらった借入金

これらは返さなくてはいけないもので、負債と言います。

 

純資産は、資本金といままでに稼いだ利益です。

これらは誰にも返す必要がありません。

 

さて、どちらの貸借対照表がより強い財務を持っていると思いますか?

 

 

A社の貸借対照表は?

 

A社の貸借対照表について、B社と比べて感じることは何でしょうか。

・現預金が少ない

・借入金が多い

・純資産が少ない

というところでしょうか。

 

借入金が大きいことから、始めはお金はたくさんあったのかもしれませんが今はとても少ないです。

事業にとって不要な財産を持っているのかもしれません。

 

貸借体表表は会社の歴史が表現されます。

経営者がどんな思想を持ち、どういう経営をしてきたかが示されるのです。

 

 

B社の貸借対照表は?

 

一方、B社の貸借対照表は、

・現金が多い

・借入金が少ない

・純資産が多い

・借入金残高よりも現預金の残高が大きいので、借入金を返してしまってもお金が残る

 

さて、どちらが財務的に安全な会社だと思いますか?

当然B社が安全だと判断されると思います。

 

 

改めてどんな貸借対照表を目指すべきかを考える

このように比べてみると、どんな貸借対照表を目指すべきかが見えてきませんか?

目指すべき貸借対照表というものをイメージできれば改善につなげていけるはずです。

 

財産を持つにあたって、返さなくてはならない「負債」でお金を集めるよりも

返さなくてもいい純資産でお金を集める方が経営は安心できます。

返済ができるうちはいいですが、返済ができなくなると事業を続けていくことが難しくなるからです。

 

それから、財産の中で大切なのはお金です。

お金がないと給与を払えなくなり、仕入先や外注先などの取引先に代金を支払えなくなり、銀行への返済もできません。

だから、その大切なお金は事業に関係ないものに使ってはいけないのです。

 

公私混同をして税金を安く済ませたとしても、会社の財務は弱くなってしまいますし、それを社員さんは見ています。

バレていないと思っていても、それは口に出さないだけかもしれません。

 

B社は節税の誘惑に負けず、税引後の利益をコツコツ積み上げて、借入金を減らし現預金をしっかり持っていることが分かります。

そうやって財務の強固な企業を作ってきたのだと思います。

そういうものを中小企業の経営者様には目指していただきたいと思っています。

 

 

毎月儲けた利益がちゃんとお金として残っているかを確認する

貸借対照表は決算日における持ち物リストだとお伝えしました。

では、年に一回決算日時点のものを確認すればいいのでしょうか?

 

私たちはこれは毎月チェックすべきだと思っています。

毎月利益は出ているのか?

その利益は現金で手元に残っているのか?

もし、利益が出ていない、現金が少なくなっているというのであれば.すぐに手を打たなければならないからです。

 

そういったことを学ぶためにも会計事務所を記帳代行などの単なる作業屋ではなく

経営のパートナーとしてお付き合いできれば、会社はもっと良くなるのではないかと思います。

 

 

今回は、貸借対照表を図でイメージしてもらい、どういった貸借対照表を目指すのかを考えてもらいたいと思ってお話をしました。

ぜひやってみてください。