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第14回 決算前検討会で考えることをお伝えします

前回ご紹介した決算前検討会ですが、決算前検討会では着地予測をするためだけに開催されるものではありません。

それに加えて、来期の利益計画のたたき台を一緒になって作っています。

社長様には、決算予測で安心していただくと同時に、利益計画で未来に希望を持っていただきたいと思っているからです。

 

その利益計画の立て方ですが、「当期は売上高が1億円だから10%増の1.1億円を目指そう」とか、

「今期は売上高が5%下がったから、来期はさらに5%下がる前提で」という作り方ではありません。

 

前者については、なぜその売上高が必要なのかの根拠がありませんし、後者については、計画ではなく予測になってしまっています。

 

利益計画は、当社が生き残っていくための必要最低限の条件(利益)を設定し、

それを達成するための売上高を逆算によって作っていくものです。

 

また、その利益計画は社員さんに公開できるようにしておかなければならないと思っています。

なぜなら、中小企業の売上は全社員で作っていくものだからです。

どれくらい頑張ればいいのか、そのためには何をすればいいのか、そしてなぜこの数字が必要なのか、これらを全社員で理解して納得して共有しておく必要があるのです。

 

 

さて、先ほどお伝えした「当社が生き残っていくための必要最低限の条件(利益)」とは、どうやって設定するのでしょうか?

 

いろいろな考え方、設定の仕方があるかと思いますが、当社では金融機関への返済額を基に設定することをお勧めしています。

借入金の返済原資は利益でしていくものだと考えているからです。もし、売上高が1億円で費用が1億円だとすると、損益は0円となります。

 

利益=キャッシュではないことはお伝えした通りではありますが、生じた利益だけお金が増えるとすると、

利益が0円だとお金は増えません。その状態で金融機関に対して借入金を返済すると、返済した分だけ会社のお金がなくなってしまいます。

 

ですから、借入金を返済する分だけは利益がないとどんどん会社のお金が少なくなってしまうのです。

(実は利益には法人税が課税されるので、税引後の利益が借入金の返済額よりも多くないといけないということです。)

 

これが私たちの考える「当社が生き残っていくための最低限度の条件」です。

もちろん売上高が増えれば必要運転資金が増え、借入金が増え、返済額が増えるので必要利益も増えます。

が、まずはこれを基準に利益計画を立て必要売上高を知っていただくようにしています。

 

しかし、ここで終わってしまっては意味がありません。

といいますのも、もし必要売上高が3億円と算出され、それを会社に持ち帰って社員さんに伝えたとすると、どういう反応を示すでしょうか?

おそらく全く反応はないと思います。なぜならその数字には全くリアリティがないためです。

 

この大きな数字は、毎月の金額や毎日の金額に細かく細かく分解していかないと現実感がなくなってしまいます。

さらに「円」問単位ではなく、「人」とか「回」とか社員さんにとって身近な数字に変換してあげると伝わりやすいと思います。

 

「来年は年間3億円の売上が上がるよう頑張ろう」ではなく、

「今日のランチタイムは50人のお客様に来ていただこう」とか「明日は3件のお客様を訪問しよう」でないと社員さんたちは何をすればいいか分からなくなってしまいます。

 

これを販売計画・行動計画といい、計画は立てるだけではダメで、定期的(毎日・毎週・毎月など)にチェックしていきます。

計画という理想と、実績という現実にはズレがあるのでそのズレをなるべく早く見つけ出し、手を打つのです。

 

決算前検討会でお手伝いするのは利益計画までですが、ぜひとも販売計画・行動計画まで落とし込んで、それをチェックするようにしていただきたいと思っています。